続けられる株式投資

株を始める方が長く続けられるような投資方法の紹介

株価は暴落するか

 

日経平均株価が3万円の大台を回復 

先週月曜日(2月15日)に東京株式市場で日経平均株価が3万円の大台を回復しました。

1990年8月以来、実に30年半ぶりです。

回復の原動力はさまざまな要因があります。

去年の10~12月のGDP(国内総生産)が2期連続で大幅な伸びを記録したことや、企業収益が予想されたほど悪くなく、米国を含めて海外株が堅調なことも大きな要因です。

また、新型コロナワクチンの接種スタートも好材料です。

しかし、最大の要因は日銀を中心とした各国の金融緩和です。

新型コロナウイルス感染症危機が完全に収束するまでは、日銀を始め各国・地域の金融緩和は続く見通しで、株価が上昇し易い環境も維持されると思います。

日経平均が1989年末に付けた史上最高値(3万8915円)を更新する日が来る可能性もあります。  

しかし、“日銀相場”を手放しで歓迎することはできません。

 

 

過去のバブル相場

銀行や企業のモラルハザード(倫理の欠如)など、深刻な副作用を伴うことがあります。  35年前も、1986年頃にスタートして1989年末に終わったとされる株式のバブル相場は、凄まじいモラルハザードを生みだしていました。

 多くの大企業が株式や転換社債を発行したり、銀行から借り入れたりして巨額の資金を調達し、「財テク」と称して、この資金を株式市場で運用することで多額の利益を稼ぎ出そうとしました。

運用を受注したのは、大手や準大手の証券会社です。

証券会社は資金運用を引き受ける際、密かに、文書もしくは口頭で、違法行為の「利回り保証」や違法行為スレスレの「損失補てん」契約を結んこともありました。

こうした契約は、事前に顧客企業の了解を得なくても、証券会社の裁量で株式を売買できるファンド(営業特金)に資金を組み込むことを意味し、猛烈な回転売買を可能にしました。

証券会社にとっては、株式の委託売買手数料を好きなだけ獲得できる仕組みでしたので 個別銘柄の経営実態を無視して相場を吊り上げました。

営業特金は膨らみ続け、企業業績のかさあげに貢献し株価は吊り上がりました。

「利回り保証」や「損失補てん」契約もあり、企業はリスク感覚が麻痺、実態は無謀な投資に過ぎないのに、割りの良い収益源を確保したという勘違いが発生しました。

しかし、当時の大蔵省は、複数の証券会社の検査を通じて問題があることを認識していました。

ひとたび相場が下落に転じたら、証券会社には保証や補てんをする体力がなかったからです。

増資・起債で融資の顧客を、資金運用で預金の顧客を奪われた銀行からの苦情も無視でませんでした。

そして、大蔵省が「さすがに、目に余る」「いつまでも続くわけがない」と、本格的な規制に乗り出す腹を固め、狂乱の株式バブル相場は終焉を迎えることになりました。  株式相場は1990年の年明けから一転、先の見えない長期下落局面に突入しました。

経済実態を離れて大きく吊り上げられていたうえ、大企業と証券会社の癒着が露呈し、市場への信頼が根底から崩れてしまいました。

 

日銀の金融緩和の始まり

それから約10年が経って2000年代に入ると、ITバブルや郵政相場で多少持ち直しかけた時期もありましたが、長続きはしませんでした。

リーマンショックの影響が長引き、日経平均は2009年3月にバブル崩壊後の最安値(7054円)を記録しました。

それから12年近くたった先週月曜日に日経平均は安値から4.2倍以上に上昇し、30年半ぶりに3万円台を回復しました。

一番大きな原動力になったのは、日銀の金融緩和です。

その第1弾は、白川方明前総裁時代の2010年12月に株価の底割れを防いで経済の好循環を作り出し、デフレ経済を脱却するという名目で、株式を組み込んだ上場投資信託(ETF)の購入が始まりました。

当時の購入枠は4500億円でした。

ETF購入は、黒田東彦現総裁のもとで合計4回にわたって強化され、直近は昨年3月のことで、購入枠の上限が年間12兆円に膨れ上がりました。

背景には日経平均が1カ月あまりの間に3割以上も急落するコロナショックがあり、安倍前政権の過去最大級の経済対策に呼応する形で、黒田日銀も包括的な金融緩和策を打ち出したのです。

 

世界的な金融緩和

日銀は、ETFの購入拡大に加え、積極的な国債買い入れ、ドル資金の潤沢な供給、新型コロナで苦境に陥った企業を支援するための特別オペなど様々な対応を講じています。  海外でも、トランプ前米政権が2兆ドル規模の経済対策を、FRB(米連邦準備理事会)が量的緩和を実行したほか、EU(欧州連合)やECB(欧州中央銀行)も続々とかつてない大規模な対策を実施しました。

これらにより「世界的カネ余り現象」が起きました。

経済の下支え期待が膨らみ、世界の市場が平静を取り戻す中、日経平均も半年足らずでコロナショック前の水準を回復しました。

その後もほぼ一本調子の上昇を続けて、先週の大台回復が実現しました。

資産バブルと呼ばれ、株式に限らず、商品相場や暗号資産価格なども高値を付けています。

去年1年間の市中への資金供給の大きさは明白です。

資金供給の結果として、日銀の保有資産は昨年12月末に前年より23%増加、金額ベースで129兆円多い702兆円に膨張しました。

この増加額はデータが開示されている1998年以降で最大で、なりふり構わぬコロナ対策の姿が伺えます。

このうち、株式相場を押し上げる効果の高いETFは簿価ベースで1年前の25%増、金額ベースで7兆円増の35兆円(簿価ベース)となりました。

日銀に支えられて、東証1部の時価総額はコロナショックで急落した去年3月に比べて約130兆円も増加しました。

こうした株式相場が上昇し易い環境は、今後も当分の間、維持される可能性が強いと思われます。

コロナ危機が去り、経済が正常化するまで、日銀に限らず、各国は大規模な金融緩和を継続せざるを得ないからです。  

その一例が、米FRBです。

昨年9月のFOMC(連邦公開市場委員会)で、コロナ対策に万全を期すため、少なくとも2023年末までゼロ金利政策を維持するという方針を表明しました。

また先週木曜日(2月18日)に黒田日銀総裁菅総理と会談し金融緩和を相当長く続ける必要があることを伝えました。

これらは、昨年のコロナショックのような混乱が再発すれば、日銀やFRBが迷うことなく再び大胆な金融緩和策を講じるとの意思表明です。

こうした状況では、相場が大きく下がるとは考えにくいと思われます。

急激に強いインフレ懸念が台頭するとか、相場が過熱し過ぎるといった想定外の事態が起きない限り、環境が大きく変わることはなさそうに思われます。

 

金融緩和の副作用

しかし、長期の金融緩和は決して良いことばかりではなく、多くの副作用が生じてきます。

本来、市場は上がったり下がったりして、経済を映す鏡となるものですが、その機能は損なわれたままになり経済の悪さがわからなくなります。

銀行への資金供給や企業の救済オペが、コロナ危機以前から破綻しかねない状態にあった銀行や企業の経営実態を覆い隠し、ゾンビ銀行やゾンビ企業の闇雲な延命策となっていることもあります。

日銀のETF保有残高は時価換算すると、45兆円を超えており、日銀が年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を抜いて、日本株の最大の株主になったことを意味しています。「モノ言わぬ株主」である日銀が、緊張感のない経営を助長し、モラルハザードを加速していることも、コーポレートガバンスの観点から大きな問題です。

 

最後に 

今回の株の上昇はバブル時の証券会社主導ではなく日銀の金融緩和が大きな要因です。

株価が大きく下がれば日銀も債務超過になり、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も資産が大きく棄損することによって年金にまで影響を及ぼします。

このようなことからバブル時のようにすぐに暴落する可能性は低いですが、日本国に問題があり海外勢がいっせいに売りに回ると支えきれなくなります。

しかし当面はその可能性は低いようです。

それまでに日銀は出口戦略を明確にし保有するETFを徐々に売却して保有割合を減らす必要があるので株価を暴落させずどのように売却するかは大変難易度の高い仕事になります。