コロナ・ショックの恐慌ムードが一転し、今週の東京株式市場では日経平均株価が多きな戻りを見せました。
しかし、27日のニューヨーク株式市場は、新型コロナウイルスの感染がアメリカで急速に拡大していることなどを受けて、ダウ平均株価は、大幅に値下がりしました。
今週に入って上昇が続いていたことから、4日ぶりの値下がりとなりましたが、値動きはなお不安定な状況です。
27日のニューヨーク株式市場ダウ平均株価の終値は、前の日に比べて915ドル39セント安い、2万1636ドル78セントで、4日ぶりに値下がりしました。
この日は、新型コロナウイルスの感染者数でアメリカが中国を抜いて最も多くなったと伝わったことや、当面の利益を確保しておきたいと売り注文が先行しました。
一方で、アメリカ政府がまとめた2兆ドル規模の大規模な経済対策への期待もありダウ平均株価は今週、2500ドル近く上昇しています。
ただ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を反映した経済指標は、来週から本格的に明らかになっていく予定で、当面、株価の不安定な動きが続きます。
日本株も買い戻しの継続性に不透明感が漂う中で、早くも優位性が薄れる可能性が出てきました。
来週(3月30日-4月3日)は反落する展開の可能性が高くなっています。
今週の日経平均は前週比2836円高の1万9389円と、記録的な上昇幅をたたき出しました。
一時は1万9500円台に乗せ、13日の安値1万6358円から大幅に上昇しました。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的規模での流行)がもたらした非常事態に対応し、各国の政府と中央銀行が相次いで打ち出したなりふり構わぬ経済・金融対策が、陰の極にあった市場心理の改善をもたらしました。
ただ、そのこと自体にコロナウイルスの広がりを抑える効果はなく、金融の不安を消して沈静化したものなのです。
新型コロナの感染者数は一向にペースダウンせず、世界で50万人を突破しました。
市場はショック慣れしてきたとはいえ、経済活動の再開が遅れるほど景気回復は遠のいています。
コロナウイルスはインフルエンザウイルスなどと違い気温が上昇しても活動を弱めないという見方が強まるなど、金融市場の動向とは裏腹に悲観の色が濃くなってきています。
日本株に関しては、今週の強気材料として「円安」「コロナ抑制」「日銀」のうち、最初の2つの要素は危うくなってきました。
五輪の延期が決定した直後に東京で感染者数が急増し、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融緩和に伴うドル供給の拡大がドル・円の下げ圧力となり、これまでの円安の動きから変わってきています。
日銀は、膨大な株価指数連動型ETF(上場投資信託)の買い余力を持っています。
しかし、株価下落時には一定の下支え効果が期待されますが、新型コロナをめぐる状況がより悪化し、為替が円高にフレた場合、日本株を買い急ぐ動きにはなりません。
日経平均は1万7000-1万9500円と弱気に推移すると思います。
ただ、ワクチンに関する朗報が出た場合は2万円以上の大暴騰になります。
来週以降の経済指標は、新型コロナの影響をかなり反映し始めます。
国内では31日に2月の有効求人倍率と鉱工業生産、4月1日には日銀短観(3月調査)が出ます。
米国では注目の3月雇用統計(3日)に先立ち、民間による同月のADP(オートマチック・データ・プロセッシング)雇用統計が1日に発表され、2日には新規失業保険申請件数(今週分)が出ます。
悪い内容を市場は織り込み尽くしたとも考えられますが、1、3日の3月ISM製造業景況指数、同非製造業景況指数とともに警戒が必要です。
一方、新型コロナのまん延がピークアウトした中国では、経済回復の速度を占う上で重要な1日の3月製造業PMI(購買担当者指数)が出ます。